岡山市の幼児教室算脳キッズです。
ーそれから、水を全部抜かないで、下から十センチメートルほど残して、スポンジにあわをつけて洗います。私はほんとうにしっかりこすりました。だって、ときどきかべをこするとあかがとれる時があるからです。しっかりしっかりあらったら、残しておいた水でスポンジをあらうのです。そのあらい方を思いついた時、「私って頭いいなあ。」と自分で思ったときもありました。それから、かべについたあわをシャワーで流します。流したらあらうのは終わりです。それから、お湯の入れ方は水を2回ひねって、お湯を全開にします。それから「もう満タンやなあ。」と思ったら、水を止めに行くとバッチグーです。
これは、ある小学4年生の女の子の作文からの引用です。
風呂洗いを楽しんでいますね。
今までの経過を振り返り、「初めの頃は下手糞だったなあ。それに比べればなんと要領よくなったものか」と自分の成長を喜んでいます。
彼女にしてみれば、風呂掃除が自分の心を見つめる時間、自分づくりの時間でもあったようです。
「掃除の手順を押し付けることなく、子どもと良い関係を保っておられるな」と、この親御さんにも感心します。
彼女の作文から、お手伝いでも遊びでも勉強でも主体的に関わって参加して初めて失敗を失敗として受け止めることができる、その結果、工夫しようという頭の働きが活発になり、考える力が育まれていくということが良く分かります。
完成品を与えられ、マニュアル通りに操作させられることが多いこの頃、特に子どもの時にはこのような体験は大切です。
たくさんの感動や誰かに伝えたくなる満足感、そしてゆっくりと自分で自分を確認できる時間です。
勉強も同じです。
出来上がった公式の適用だけでは学ぶ力、すなわち生きる力はつきません。
本当に伸びていくのは概念を身につけ公式を実感として受け止め、成長を感じながら学んでいる子どもたちです。
概念がない子どもたち
水をコップに入れます。
そして、コップの中の水を全部他の容器に移します。
細長い容器に移したり、平べったい容器に移したりします。
水の量は捨てない限りどんな容器に移しても変わらないのですが、小学1年生,2年生の中には、水面の高さだけを見て「水が増えた」とか「水が減った」などと答える子どもがいます。
また、「食塩の重さ+水の重さ=食塩水の重さ」ですが、水の中に食塩を溶かした時、「初めの食塩の重さは溶けてなくなる」と答える子どももいます。
小学校5年生、6年生といった高学年でも「なめるとしょっぱくなるのは、食塩が水の中を通ったのだから、水の中に味だけが残ったのだ」と答える子どももいます。
こういう子どもたちが、濃度の公式を覚えて適用しようと頑張っているのです。
○をもらうためだけの勉強ですから、長い期間数学と付き合えないはずです。
どの子にも確かな学力を
このような数学的概念(保存性や加法性)は夢中になる水遊びや砂遊び、粘土遊びなどを通して心のうちに形成されていくものです。
この内面化された概念が教育という営みによって意識され「1対1対応」「順序」「数の合成・分解」といった科学的な考え方へと発展していきます。
ですから内面化されたものがなければ、このような概念は理解されることはありません。
算数・数学の力をつけるには何が重要か、もう一度真剣に考えてみる必要があります。
公式やテクニックよりも先に、どのように概念を身につけさせるための指導をしているのか、具体的なお話はまた後日お話します。